建設業の賃金テーブルの作り方|等級別レンジ・号俸の設計手順


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建設業の賃金テーブルとは、等級(役割レベル)ごとに基本給の範囲を定めた表です。等級ごとに下限・上限のレンジを設け、その中を号俸で刻むことで、評価に応じた昇給を分かりやすく運用できます。属人的な賃金決定から脱却し、社員に将来の見通しを示す土台になります。本記事では、賃金テーブルの作り方を4ステップで解説し、レンジ・号俸の設計、地域相場の考え方、評価との連動までを整理します。
賃金テーブルとは
賃金テーブルは、「どの等級に、いくらの基本給を払うか」をルール化した表です。等級制度とセットで運用し、同じ等級でも評価や経験に応じて差がつくよう、レンジ(幅)を持たせるのが基本です。テーブルがあると、昇給の根拠が明確になり、社員の納得感が高まります。
賃金テーブルの3つの要素
賃金テーブルは、「等級」「レンジ(給与の幅)」「号俸(きざみ)」の3つで構成されます。等級で役割の段階を表し、レンジで各段階の下限・上限を定め、号俸でその幅を細かく刻みます。この3点セットがそろうことで、昇給を毎年の運用に落とし込めます。
なぜ「幅(レンジ)」を持たせるのか
同じ等級でも、経験や評価によって貢献度は異なります。1点の金額ではなくレンジで設計することで、同一等級内でも評価に応じた差をつけられ、頑張りが給与に反映される仕組みになります。
| 構成要素 | 役割 | 設計のポイント |
|---|---|---|
| 等級 | 役割・責任の段階 | 中小建設会社は3〜6等級が目安 |
| レンジ | 各等級の下限〜上限 | 上位等級ほど幅を広げる |
| 号俸 | レンジ内の刻み | 評価ランクに応じ号数を上げる |
賃金テーブルの作り方【4ステップ】
STEP1 等級制度を用意する
賃金テーブルの前提は等級です。役割レベルを3〜6段階で定義し、各等級に求められる役割を明確にします。
STEP2 等級ごとのレンジを決める
各等級の基本給の下限と上限を設定します。下位等級は採用相場、上位等級は責任に見合う水準を意識します。
STEP3 号俸で刻む
レンジ内を号俸で分け、毎年の評価に応じて号数を上げる方式にします。昇給の運用が分かりやすくなります。
STEP4 評価との連動を決める
評価ランクごとに昇給号数を定め、評価が賃金に反映される仕組みにします。ここが曖昧だと制度が形骸化します。
レンジ・号俸の設計
レンジの重なり(等級間で給与帯が一部重なること)を持たせると、昇格前後の逆転を防げます。
| 等級 | レンジの考え方 |
|---|---|
| 下位等級 | 採用相場を意識し応募が来る水準に |
| 中位等級 | 定着の中核。上位への希望が持てる幅 |
| 上位等級 | 責任に見合う水準で流出を防ぐ |
世間相場・地域相場の考え方
賃金水準は、横浜市・川崎市の職種別の求人相場を踏まえて調整します。高すぎると人件費を圧迫し、低すぎると採用・定着で不利になります。相場を確認しつつ、自社の支払い能力と両立する水準に設計することが重要です。
相場を確認する視点
相場は「地域」「職種」「経験年数」の3つの軸で見ると、自社の水準を客観的に評価できます。特に横浜市・川崎市は都市部で採用競争が激しいため、初任給や中堅層の水準が応募数に直結します。
イメージ事例:横浜市の従業員24名のN建設では、自社の初任給が近隣同業他社より月1〜2万円低いことが求人サイトの調査で判明しました(想定)。相場を踏まえて初任給を月21万円から23万円に引き上げたところ、応募数が前年の月平均3〜4件から6〜7件に増えた、という想定例です。
支払い能力とのバランス
相場に合わせることは大切ですが、無理な水準設定は経営を圧迫します。労働分配率(人件費が付加価値に占める割合)を確認しながら、持続可能な範囲で競争力のある水準に調整することが重要です。
| 確認する軸 | ポイント |
|---|---|
| 地域相場 | 横浜・川崎の求人水準を確認 |
| 職種相場 | 施工管理・技能・事務で相場が異なる |
| 自社の支払い能力 | 労働分配率で持続可能性を確認 |
賃金相場を客観的に把握する参考として、国が毎年公表する「公共工事設計労務単価」があります。職種別・都道府県別の水準が示されており、自社の賃金水準を検討する際の目安になります。最新の単価は国土交通省「労働・資材対策」で確認できます(数値は毎年改定されます)。
評価と賃金テーブルの連動
| 評価ランク | 昇給の目安 |
|---|---|
| S(大きく上回る) | 号数を多めに昇給 |
| A(上回る) | やや多めに昇給 |
| B(期待どおり) | 標準的に昇給 |
| C(下回る) | 据置または小幅 |
イメージ事例:評価と賃金が連動していなかった川崎市のO工務店(19名)では、評価がB評価でも昇給額が全員一律1,000円という状態でした。評価ランク(S〜C)別に昇給額を差別化(S評価は月8,000円、C評価は昇給なし、など)したところ、優秀層の定着意欲が高まった、という想定です。
賃金テーブル導入の注意点
| 注意点 | 対応 |
|---|---|
| 既存社員の賃金が下がる | 移行時は調整給などで不利益に配慮 |
| 上限に達する社員が出る | 昇格や役割拡大で上位等級へ |
| 評価と連動していない | 評価ランクと昇給を接続する |
よくあるケース(想定事例)
賃金テーブルが整備されていない会社では、次のようなケースがよく起こります。
| よくあるケース | 起きていること | 打ち手の方向性 |
|---|---|---|
| 基本給がバラバラ | 同じ役割でも人により賃金が異なり不公平 | 等級ごとにレンジ(上限・下限)を設定 |
| 採用時に相場が分からない | 提示額の根拠がなく他社に競り負ける | 地域相場を踏まえた初任給水準を設計 |
| 昇給の刻みがない | 毎年の昇給が場当たり的になる | 号俸で昇給ステップを見える化 |
賃金水準の目安は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で職種・年齢別に公表されています。金額は年により変動するため、最新値は公式サイトでご確認ください。
自社に合った賃金テーブルづくりを支援します
賃金テーブルは、等級・評価・支払い能力・地域相場のバランスで決まります。自社だけで設計すると相場観や移行の面で不安が残りがちです。横浜市・川崎市の建設会社であれば、地域相場や職種構成を踏まえた賃金テーブルの設計をご提案できます。まずは無料相談で現状の賃金を整理しましょう。
賃金テーブルの種類(シングルレートとレンジレート)
賃金テーブルには大きく2つの型があります。会社の方針や規模に合わせて選びます。
シングルレート型
1つの等級に1つの金額を対応させる方式です。シンプルで分かりやすい反面、同じ等級内での評価差を反映しにくい面があります。
レンジレート型
1つの等級に金額の幅(レンジ)を持たせる方式です。同じ等級でも評価に応じて昇給でき、中小建設会社の運用に向いています。
| 型 | 特徴 |
|---|---|
| シングルレート | 単純明快だが評価差を反映しにくい |
| レンジレート | 評価に応じた昇給がしやすい |
昇給原資の考え方
賃金テーブルを運用するには、毎年の昇給に充てる原資をどう確保するかを考える必要があります。
総額を管理する
全社の昇給総額を先に決め、その範囲で評価に応じて配分すると、人件費が想定を超えるのを防げます。
メリハリをつける
一律ではなく、評価の高い社員に手厚く配分することで、限られた原資を成長する人材に集中できます。
イメージ事例:昇給原資を決めずに昇給額を決めていた横浜市のP建設(27名)。ある年は昇給総額の伸びが売上の伸びを上回り、人件費が前年比+8%に対し売上は+3%という想定の負担増になりました。原資を「昇給前の総人件費の1.5〜2%」を目安に設定し直し、無理のない昇給計画が立てられるようにした、という例です。
基本給と手当のバランス設計
賃金テーブルを考えるうえで、基本給と手当のバランスは重要なテーマです。手当が多すぎると賃金全体が複雑になり、見直しも難しくなります。逆に基本給が厚いと、評価に応じた昇給の余地をつくりやすくなります。会社の方針に合わせて、どこに重心を置くかを決めることが大切です。
基本給を中心に据える
基本給は等級と評価に連動する部分です。ここを中心に設計すると、頑張りが賃金に反映される分かりやすい構造になります。
手当は目的を明確にする
資格手当・現場手当・役職手当などは、それぞれ目的を明確にして設計します。目的の曖昧な手当が増えると、賃金の透明性が損なわれます。
手当の乱立を避ける
過去の経緯で残っている手当がないか点検し、役割の重なる手当は整理・統合します。シンプルな構造ほど、運用も説明もしやすくなります。
賃金テーブルと評価・昇格の連動
賃金テーブルは、評価制度・等級制度とつながって初めて生きた仕組みになります。評価ランクに応じて号俸を上げ、一定の評価を継続して獲得したら上位等級へ昇格する、という流れをルール化することで、社員は成長と処遇の関係を実感できます。
評価が昇給を決める
毎年の評価ランクに応じて昇給号数を決めることで、頑張りが翌年の給与に反映されます。原資の範囲で無理なく回せるよう、ランク分布を想定して設計します。
昇格が賃金レンジを引き上げる
昇格は等級の変更を伴い、賃金レンジそのものが上がります。役割の広がりと処遇の向上が連動することで、長期的なキャリアの見通しが持てます。
賃金制度の移行の進め方
賃金制度の見直しは、社員の生活に直結するため、慎重に進める必要があります。次の順序で進めると、混乱を避けられます。
現行制度を分析する
まず現在の賃金の実態を把握し、等級・年齢・職種ごとの分布を確認します。課題を明確にすることが、新制度設計の出発点です。
不利益変更に配慮する
移行によって既存社員の賃金が下がることのないよう、調整給を設けるなど段階的に整えます。不利益変更は慎重に扱うべき点です。
丁寧に説明し合意を得る
制度の目的と内容を丁寧に説明し、社員の理解を得ることが不可欠です。「公平で成長できる会社にする」という目的の共有が、納得への近道です。
賃金テーブル運用の注意点
賃金テーブルは、作った後の運用が重要です。毎年の昇給原資を計画的に確保し、評価との連動を守ることで、制度が形骸化せず機能し続けます。また、採用相場や物価の変化に応じて、数年に一度は水準そのものを見直すことも必要です。硬直的に運用するのではなく、会社の状況に合わせて育てていく姿勢が、長く使える賃金制度をつくります。
昇給原資を計画的に確保する
毎年の昇給には原資が必要です。業績連動で昇給総額の上限を決めておくと、制度が経営を圧迫せず、無理なく運用できます。
定期的に水準を見直す
作った当時の水準のまま放置すると、相場との乖離が広がります。数年に一度は採用相場や物価の変化を踏まえ、テーブルそのものを点検しましょう。
| 運用の注意点 | 具体策 |
|---|---|
| 原資の確保 | 業績連動で昇給総額の上限を設定 |
| 評価との連動 | 評価ランクと号俸の対応を維持 |
| 水準の見直し | 数年に一度、相場と照合して調整 |
※ 本文中の「イメージ事例」は理解を助けるための想定シナリオであり、記載した会社名・人数・金額・割合などは実在の統計ではなくサンプルです。実際の効果や数値は状況により異なります。
参考・出典(公的機関)
本記事の制度・数値に関する内容は、以下の公的機関の情報を参考にしています。制度の要件・金額・統計数値・実施状況は年度や制度改正により変わるため、実際の手続きや最新の数値は各機関の公式サイトで必ずご確認ください。
- 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
年齢・勤続年数・役職・産業別などの賃金水準を毎年公表している基幹統計。自社の賃金テーブルや水準を検討する際の客観的な比較材料になります。 - 毎月勤労統計調査(厚生労働省)
給与や労働時間の動向を毎月把握できる調査。賃上げや残業の傾向を確認する際の基礎データになります。 - 就労条件総合調査(厚生労働省)
賃金制度・労働時間制度・休暇制度など企業の就労条件の実態を調べた調査。手当や等級制度の設計時に他社の傾向を把握できます。 - 建設業の労働・資材対策(国土交通省)
技能労働者の処遇改善や設計労務単価に関する国の取り組みをまとめたページ。建設業の賃金・処遇を考える際の背景情報になります。
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お客様の声

小田原市
(有) 大畠工務店 様
大畠社長
お客様の声
HR系大手コンサル会社が作った人事評価制度を導入し、経営理念も新たに策定しましたが、社内が一向に良くならない時に守田さんに相談に乗ってもらいました。そして、人財が育つよう組織作りを見直し、人事評価制度も見直しを行いました。
今では最年少の社員が一日も早く現場監督になろうと目を輝かせていて、経営理念が社内に浸透してきていることを肌で感じることが出来るようになり、「成長の見える化」が本当に大切だと実感しています。
守田のコメント
人事評価制度や経営理念を策定したことに満足せず、組織風土が変わることに徹底的にこだわり抜いた大畠社長の経営者の想いの強さが社風を変える大きな要因となりました。
何でも自分一人でやろうとせず、経営者がやるべき「戦略の立案と人材の育成」に集中したことで、若い人たちがどんどん成長していく仕組みが動き始め、今後が楽しみです。

横浜市
(株)ニプラ 様
星野社長
お客様の声
業界の抱える課題解決に向けて起業し、ビジネスも軌道に乗り始めた中で以前より親交のあった守田さんに人材育成の仕組みづくりについて相談に乗ってもらいました。
自社の強みを活かした「戦略の立案」について相談し、社員が自分で成長を目指す人事評価/給与制度を導入する支援をしてもらいました。
今では、営業職として成長意欲の高い若手社員が入社してドンドン成長していく姿を見守ることが楽しみになっています。
守田のコメント
まだ本当に少人数だった頃から「社員が自主的に行動を起こす人事評価が欲しい!」とお声掛けいただきました。
「営業職として成長する未来」を実感している星野社長だからこそ、提案営業を志望する若手社員が大きく成長できる環境づくりに貪欲に取り組んでいて、社長と社員の好ましい関係性が「逞しい営業マンづくり」につながっているのだと思います。
会社紹介
有限会社フェニックス

営業時間
9:00~17:30
定休日
土日祝
電話番号
045-298-1180
住所
〒223-0057 神奈川県横浜市港北区新羽町1172-1-501
会社沿革
1996年
株式会社日本LCAのフランチャイズLCA-Gとして
有限会社守田コンサルティング事務所創業(支援分野:経営・人事・営業)
1999年
株式会社ベンチャー・リンク主宰“ビジネスクラブ”として
『社長の道場(中小企業後継経営者育成塾)』開始
2014年
有限会社守田コンサルティング事務所を有限会社フェニックスへ商号変更
2015年
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント代理店として
ストレス耐性対応採用適性検査・アドバンテッジインサイト取扱を開始
2019年
株式会社あしたのチーム代理店として
人事評価サービス“あしたのチーム”導入支援事業を開始
2023年
建設業など人材不足が深刻な業界に特化した成長人材育成・採用サービス開始
Vision 10年ビジョン
中小企業の社長が描く大きな夢・中期経営計画に、一人ひとりの社員が自分の夢・ライフプランを投影し何としても その夢を実現させようと真剣な努力を重ねることで、会社は経営目標を達成し社員も自分の夢の実現を実感できる。
そんな、会社と社員の理想の関係を創ることが私たちの使命です。
私たちは、あしたのチームの人事評価を中小企業に普及させることで、一人ひとりの社員の努力・働きが適正に評価される環境を提供し、働きがいを感じた社員が、会社の経営を我が事のように考え働くことで、働く喜びを実感できる会社づくりを支援していきます。
中小企業で働く人たちが、働く喜びを実感することで、笑顔が広がり、笑顔で子どもたちと接することで、家庭にも笑顔が広がり、子どもたちも早く働きたいと思えるような社会をつくっていくのは、私たち大人の責務です。
私たちは、事業を通じて得た利益は、適正労働分配率と公正な評価に基づき公正に社員に還元し、更なる事業の普及促進に向けた社会への還元を続けながら、会社の存続発展のために計画的に内部留保します。
そして、この国の基盤を支える中小企業で働く人たちが、誇りと喜びをもって働ける魅力あふれる会社のネットワークを神奈川に拡げていきます。
よくある質問
Q. 賃金テーブルは何等級くらいで作ればよいですか?
A. 中小建設会社では3〜6等級が目安です。多すぎると運用が複雑になり、少なすぎると昇格の実感が持てません。
Q. 賃金の相場はどう調べればよいですか?
A. 横浜市・川崎市の職種別の求人相場を参考にしつつ、自社の支払い能力と両立する水準に調整します。
Q. 既存社員の賃金を下げずに導入できますか?
A. 移行時は不利益変更に配慮し、調整給などで段階的に整えるのが一般的です。丁寧な説明と合意形成が重要です。
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